塚本晋也監督の『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』が、第83回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティションに出品されている。公式プログラムには現地9月4日19時15分、サラ・グランデでの上映が掲載された。
海外映画祭に日本の監督。すぐ「快挙」「受賞なるか」という話になる。だが今回は、その前に題名で足を止めたい。
「戦争は悲しい」なら拍手できる
戦争は悲惨だ。命は大切だ。そう言われれば、ほとんどの観客はうなずける。自分の立場を変えずに、正しい側へ座れるからだ。
だが「あなたは人を殺しましたか?」は違う。主語が戦争ではなく、あなたになる。巨大な歴史の話を、ひとりの人間が何をしたかという問いへ引き戻す。これは題名だけでも、かなり居心地が悪い。
戦争を憎むことと、戦争の中で人間がすることを見るのは、同じではない。
金獅子賞より先にある問い
もちろん、題名が強いから作品も優れているとは限らない。そこは本編を見て判断すべきだ。出品実績を、そのまま鑑賞の答えにしてはいけない。
映画祭は作品に光を当てる入口であって、内容を代わりに受け止めてくれる装置ではない。どんな賞を取ったかより、見たあと何を考えずにいられなくなるか。
「日本映画が世界で評価された」で喜ぶだけなら、この題名がこちらを向いている意味を見落とす。
出典・編集注記
ヴェネツィア国際映画祭公式の選出・上映情報をもとにしたニュースと論評です。本編鑑賞済みのレビューではなく、作品の出来や受賞を評価・予測するものではありません。






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