菊池風磨の言葉に見えた違和感

傷害容疑で逮捕され、9月25日に釈放されたtimelesz猪俣周杜。STARTO ENTERTAINMENTは当面の謹慎と活動休止を発表し、処分は当局の判断後に決めるとしている。

そして27日、菊池風磨がラジオで口を開いた。

「会社だったりメンバーとも何度も何度も話し合い、この先を丁寧に決めていかなければならない」と説明した。

慎重な言葉だ。

しかし、聞き逃せない違和感も残る。

逮捕騒動まで発展した所属タレントについて、会社が明確な判断を示すのではなく、メンバーとの話し合いが前面に出ているからだ。

なぜ重大な事案の処分を、同じグループのメンバーが背負っているように見えるのか。

グループにも会社にも残るということ

もちろん、逮捕されたことだけを理由に、捜査や司法判断を待たず契約解除する必要はない。猪俣も容疑について「手が当たってしまったかもしれません」などと説明し、報道では否認している。

だからこそ、ここで問いたいのは、逮捕イコール即解雇という単純な話ではない。

問題は、活動休止という処分の先に、グループにも会社にも残る道が当然のように用意されているように見えることだ。

草間リチャード敬太は2025年の逮捕後に活動休止となり、略式命令を受けた後、Aぇ! groupを脱退した。一方でSTARTOとの関係は続き、2026年には活動を再開している。

国分太一もコンプライアンス違反を受けて無期限活動休止となった。

事案も法的状況も契約形態も異なるため、単純に同列で語ることはできない。

それでも、重大な問題を起こしたタレントが、処分を受けながら会社との関係を維持し続ける構図には、旧ジャニーズ時代からの連続性を感じざるを得ない。

草彅剛の全裸騒動と何が違うのか

2009年、SMAPの草彅剛は公然わいせつ容疑で逮捕され、釈放後に起訴猶予となった。当時、草彅は活動を自粛し、SMAPも一時的にグループ活動を控えた。

その後、草彅は活動を再開し、SMAPも存続した。

もちろん、草彅の事案と猪俣の傷害容疑は内容が異なる。被害の性質も、社会的な受け止めも、当時と現在のメディア環境も同じではない。

しかし、比較すべきなのは事件の中身ではなく、事務所とグループの対応の構造だ。

問題が起きる。

本人は活動を自粛する。

グループは一時的に活動を控える。

その後、本人はグループや事務所に戻る。

この流れだけを見れば、STARTOになっても、旧ジャニーズ時代と大きく変わっていないように映る。

看板が変わっても、「人気タレントは自粛で済ませ、時間を置いて復帰させる」という発想が残っているのではないか。

今、儲かっているグループだから自粛で済むのか

ここで避けて通れないのが、timeleszの現在の勢いだ。

timeleszは、菊池風磨、佐藤勝利、松島聡に新メンバーを加え、オーディション企画「timelesz project」を経て大きく注目を集めた。新体制への関心は高く、グループにとってもSTARTOにとっても、重要な収益源であることは否定できない。

だからこそ、疑念が生まれる。

今、儲かっているグループだから、活動休止で済ませるのではないか。

もちろん、会社が実際にその理由で判断したと断定することはできない。

だが、会社が処分の基準を明らかにしないまま、メンバーが話し合い、グループの将来を考え、本人の復帰可能性を残す形になれば、外部からは「売れているから守られている」と受け取られても仕方がない。

草間リチャード敬太はグループを脱退した。

国分太一はグループ活動から離れた。

一方で猪俣は、現時点では活動休止にとどまり、timeleszのメンバーとしての立場も、STARTO所属タレントとしての立場も維持している。

この違いを、会社は説明できるのか。

「仲間で決める」は旧ジャニーズ的ではないか

菊池風磨がメンバーとして苦しい立場に置かれていることは理解できる。

新メンバーを迎えたばかりのグループで、重大な問題が起きた。ファンへの説明も必要で、メンバー同士の信頼や今後の活動について話し合わなければならない。

しかし、グループの今後を話し合うことと、会社として処分を決めることは別だ。

メンバーが担うべきなのは、グループとしてどう活動するか、ファンにどう向き合うかという部分だろう。

契約を継続するのか。

グループから外すのか。

活動再開の条件をどうするのか。

それを決め、説明し、責任を負うのは会社の役割ではないのか。

「仲間だからどうするか」ではなく、「会社として何を基準に判断したのか」を先に示す。それが新会社に求められていたはずだ。

新会社なら会社が矢面に立つべきだった

STARTOは旧ジャニーズ事務所とは別法人として始まった。

性加害問題を受け、ガバナンスやコンプライアンスの強化を掲げてきた会社でもある。

ならば今回、見せるべきだったのは、タレントの言葉ではなく、会社の判断力だった。

メンバーが謝罪する。

菊池がラジオで説明する。

グループ内で何度も話し合う。

それだけでは、タレント同士の絆と連帯責任が、会社の危機管理を補っているように見えてしまう。

猪俣を直ちに契約解除しないこと自体が問題なのではない。

捜査結果や司法判断を待つことにも合理性はある。

問題は、なぜ活動休止なのか。

なぜグループに残るのか。

なぜ会社との契約を維持するのか。

その基準と責任者が見えないことだ。

変わったのは名前だけなのか

旧ジャニーズ時代にも、人気タレントが問題を起こした際、一定期間の活動自粛を経て復帰するケースはあった。

草彅剛の全裸騒動も、本人とグループの活動自粛を経て、最終的には復帰に至った。

その判断がすべて間違っていたと言いたいわけではない。

ただ、STARTOが本当に新しい会社だというなら、過去と同じような対応を取る場合こそ、なぜその判断に至ったのかを説明しなければならない。

人気があるから残すのか。

売上が大きいから自粛で済ませるのか。

ファンが多いから復帰の道を残すのか。

それとも、事案の内容、本人の説明、被害の有無、捜査の進展、再発防止策を総合的に判断しているのか。

会社が語らなければ、外部からは区別できない。

STARTOという名前に変わって約2年半。

今回必要だったのは、「ジャニーズとは違う」と説明することではない。

誰が、どんな基準で、どんな責任を負って所属タレントを処分するのか。

そして、人気や収益によって処分が左右されていないことを、どう証明するのか。

それを行動で見せることだった。

逮捕騒動まで起きたタレントが、活動休止だけでグループにも会社にも残る。

その判断が正しいというなら、STARTOは正しさの根拠を説明しなければならない。

説明できないままなら、看板が変わっただけで、旧ジャニーズ体制と何も変わっていない。

名前が変わった会社が本当に変わったかどうかは、平時ではなく、こういう時にこそ分かる。

出典・編集注記

事実確認(2026年9月29日):STARTO ENTERTAINMENTの9月19日付発表で、猪俣周杜の逮捕と当面の謹慎・活動休止、当局の処分確定後に正式な処分を決定・公表する方針を確認しました。9月25日の釈放と、27日放送のTOKYO FM『菊池風磨 hoursz』における菊池風磨の発言はORICON NEWSの報道で確認しています。草間リチャード敬太については、2025年11月20日付のSTARTO公式発表でAぇ! group脱退と契約継続、2026年7月1日付発表で7月2日からの活動再開を確認しました。国分太一の無期限活動休止は株式会社TOKIOおよびSTARTOの2025年6月20日付発表を参照しました。草彅剛は2009年4月に公然わいせつ容疑で逮捕され、起訴猶予後、約1か月の本人活動自粛を経て5月28日に復帰したことを確認しましたが、SMAP全体に対する正式な活動休止処分は確認できませんでした。猪俣が現時点でグループ・会社に残っている状態は最終処分前であり、復帰や契約継続が確定したものではありません。また、timeleszを「重要な収益源」「今、儲かっているグループ」とする記述にグループ別収益の公表資料はなく、人気や露出を踏まえた筆者の論評です。画像は実際の人物、会社、番組収録、処分場面を再現したものではありません。

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