10月16日、ソニーが新型ウォークマン3機種を発表した。最上位『NW-WM1ZM3』は米国で5899.99ドル。ITmediaの同日換算では約93万2900円だ。日本の市場推定価格は65万5000円前後で、11月27日に発売される。

それでも十分、高い。

学生時代、ウォークマンやiPodは憧れだった。少し無理をして買い、好きな曲を詰め、イヤホンを耳に差す。それだけで昨日までと違う自分になれた気がした。

音楽プレーヤーはファッションだった

カセットからCD、MD、MP3へ。小さく、薄くなり、色が増えた。機種を選ぶことは服やスニーカーを選ぶことに似ていた。誰が何を使い、どんなイヤホンをしているか。学校へ持っていく小さな機械が、持ち主の趣味を語った。

1979年の初代ウォークマンも『音楽を外へ持ち出す』という生活様式を売った。ソニーは、著名人が雑誌広告で製品を持ち、若者の支持を得て文化的な象徴になったと振り返る。

音楽を聴くことだけでなく、音楽を持ち歩く自分が格好よかった。

スマホはプレーヤーだけを消した

今、通学中に音楽を聴くためだけの機械は要らない。スマホを取り出し、サブスクで再生する。連絡も地図も動画も一台で済む。

便利になった一方、『何のプレーヤーを持っている?』という会話は消えた。音楽の趣味はプレイリストやSNSで見える。だが再生する道具に個性を託す必要はなくなった。

音楽が生活から消えたのではない。音楽専用機を持つことが、日常のファッションではなくなったのだ。

65万円の機械は誰の憧れか

最上位機は純度約99.99%の無酸素銅を削り出した筐体、金メッキしたリアシャーシ、高音質回路、DSD変換技術を備える。飾りだけで高いわけではない。音にこだわる人へ向けた本気の製品だ。

しかし学生が友達に見せびらかしたMP3プレーヤーとは違う。腕時計はスマホで時刻を確認できても、高級機械式時計として生き残った。カメラもスマホに吸収されながら、フィルムや高級機に価値を見いだす人がいる。

ウォークマンも同じ場所へ向かうのかもしれない。便利さではなく、専用品を所有する満足。通知に邪魔されず一曲へ集中する贅沢である。

ノスタルジーは高級品を売れるか

ただし懐かしさと購買力は別だ。放課後に憧れた名前で胸が動いても、数十万円を払う理由にはならない。当時の憧れは、友達も欲しがる身近な未来だった。今の最上位機は、愛好家だけの未来だ。

学生時代のウォークマンは、電車で取り出すだけで少し得意になれた。今の最上位機は、見せても値段すら伝わらない。だからソニーが売るのは、昔の青春そのものではない。

みんなが欲しかったウォークマンは、みんなが持てないウォークマンになった。

音楽というファッションは残る。だが主役が再びプレーヤーになるかは、懐かしい名前だけでは決まらない。

出典・編集注記

出典(2026年10月16日確認):ソニー(2026年10月16日)は『NW-WM1ZM3』『NW-WM1AM3』『NW-ZX900』を11月27日に発売すると発表。最上位機の国内市場推定価格は655,000円前後。ITmedia Mobile(同日)は米国価格5,899.99ドルを約93万2,900円と換算。ソニー公式の沿革・ウォークマン20周年資料で、初代TPS-L2の1979年発売と、若者に支持された文化的・ファッション的側面を確認しました。画像はソニー公式発表の製品写真を視覚資料として確認し、転載に見えない独自の編集構図へ大幅に再構成しました。

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