10月13日、Fischer’sのシルクロードが個人YouTubeで実家周辺の盗撮やつきまといを訴えた。撮影した人物の姿や日時を記録していると説明し、「有名税だから仕方ない」という見方にも反論した。

当然だ。人気者になったのは本人で、両親ではない。まして誰かの家をうろつく権利など、再生ボタンを押しただけの視聴者にはない。

有名税とは便利な言葉だ。払う側だけが決まっていて、徴収する側には何の資格もいらない。

昔のスターは、警察が信号を青にした

ただ、この言葉を聞いて思い出したのが、昭和の芸能界である。

柏原芳恵は、かつて大晦日の『日本レコード大賞』から『NHK紅白歌合戦』へ移動する際、パトカーが車を先導したと証言している。薬丸裕英もシブがき隊時代、道中の信号が次々青になり、警察官が交通整理していたと振り返った。中森明菜も、信号がすべて青になったという逸話を認めている。

まさに芸能界のVIP待遇だ。

ただし「芸能人だから好きに信号を変えられた」わけではない。二つの国民的生放送をつなぐための特例的な交通対応で、全タレントに与えられた権利でもない。

福山雅治のために街が動いた

2019年、大泉洋は『龍馬伝』の長崎ロケを回想し、福山雅治の移動時に警察が信号を青にしていたと語った。見物人による混乱を避けるためだったという。

有名人がいることで生まれる危険を、有名人本人だけに背負わせない。少なくとも、そうした場面があったわけだ。

かつてスターの知名度は、人を集める力であると同時に、周囲が安全を確保すべき理由にもなった。

今の有名税は、請求書だけ届く

今は違う。YouTubeで何百万人に知られても、実家を守るために自ら証拠映像を集め、やめてほしいと動画で頼まなければならない。

テレビ番組には、移動と警備を調整する主催者がいた。では個人発信者の実家を誰が守るのか。そこに責任の空白がある。

昔もスターへのつきまといはあった。違うのはスマホ一台で撮影から拡散まででき、本人だけでなく家族の生活圏まで瞬時に晒されうることだ。人気の恩恵を受けるのは本人だろう、という理屈で、私生活への侵入まで自己責任にされる。

もちろん知名度は収入や仕事を生む。それが有名人になる利益だ。ただしその利益は、他人が勝手に生活を侵害するための料金ではない。

本物の税金には道路や治安という公共サービスがある。「有名税」は比喩にすぎず、納付先も使い道もない。

返すべきは特権ではなく安全だ

パトカーで送り届けろと言いたいのではない。昭和の特例を全員に配れという話でもない。

有名人の安全を「人気者だから我慢しろ」で済ませず、誰にでもあるはずの生活の平穏として扱え、という話だ。

「有名税」を請求する人間は、徴収した代償について何一つ責任を取らない。

シルクロードの主張は、特別扱いの要求ではない。せめて普通の人間として暮らす権利を返してくれ、というだけなのだ。

出典・編集注記

ユーチュラ(2026年10月14日)。シルクロードが10月13日の動画で実家周辺への不審者の出没、盗撮・つきまといについて説明し、『有名税』という見方に反論。RBB TODAY(2023年12月31日)。柏原芳恵が『レコ大』から『紅白』への移動をパトカーが先導し、信号が青に制御されたと証言。ENCOUNT(2025年11月1日)。薬丸裕英がシブがき隊時代の移動と警察による交通整理を回想。日刊スポーツ(2025年12月13日)。中森明菜が当時の青信号の逸話を認めた。RBB TODAY(2019年1月12日)。大泉洋が福山雅治の長崎ロケでの交通対応を証言。画像はシルクロードの公開写真と1980年代の音楽特番資料を視覚資料として確認し、顔、衣装、人物、会場を特定不能な架空の構図へ再構成した生成編集用イメージです。

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