9月10日、木曜日。
京セラドーム大阪では『超RIZIN.5』が開催され、ABEMA PPVで全試合生中継される。ABEMAは同大会からRIZINの公式メディアパートナーにもなった。
木曜にドームで総合格闘技をやる時代である。
考えてみれば不思議だ。
2025年の大晦日RIZINも、朝倉未来のタイトルマッチを含む大型大会だったが、主戦場はABEMA、U-NEXTなどのPPV。
ボクシングも同じだ。
井上尚弥、中谷潤人、那須川天心、井上拓真。かつてなら「今夜7時、世界タイトルマッチ」とテレビ欄に並んでいた選手たちが、今ではPrime VideoやLeminoで世界戦をする。Prime Videoだけでも2025年5月までに世界戦30試合以上を配信していた。
それでも格闘技は盛り上がっている。
いや、ファンの中では昔より盛り上がっているようにも見える。
記者会見を見る。計量を見る。煽りVを見る。YouTubeで練習を見る。選手本人のSNSを見る。試合後には本人が解説する。
昔より圧倒的に選手が近い。
選手との距離は史上最短。世間との距離は、案外史上最長なのかもしれない。
格闘技は近くなった。でも、世間からは遠くなった。
でも2003年、曙対ボブ・サップは大晦日の地上波で瞬間最高視聴率43%を記録し、一時『NHK紅白歌合戦』まで上回った。
格闘技ファンではない父親も母親も子供も、
「今日、曙とサップやるらしいよ」
と知っていた。
今は違う。
朝倉未来がタイトルマッチをしていても、興味がなければ一秒も視界に入らない。
たまたま見る人が消えた。
ネット配信は「見たい人が見たいものを見る」には最強だ。
放送時間にも縛られない。地上波では難しい長時間興行も全部見せられる。数千円払う濃いファンが直接興行を支える。
その代わり、
テレビの強さは、格闘技に興味のない人の家にまで勝手に曙を送り込めたことだった。
PPVは逆だ。
検索する。契約する。金を払う。
三つの扉を自分で開けた人しかリングまで来ない。
国民的娯楽から、巨大なファンダムへ移動した。
だから現在の格闘技は、人気が落ちたとも言い切れない。
むしろ巨大な会場は埋まり、ファンの熱量も高い。
ただスターの種類が変わった。
100万人にものすごく近いスターと、1億人がなんとなく知っているスターは違う。
格闘技は衰退したのではない。
選手との距離は史上最短。
世間との距離は、案外史上最長なのかもしれない。
出典・編集注記
RIZIN公式大会情報、ABEMAの配信ページとサイバーエージェントの発表、U-NEXT公式SNS、Prime Videoの公開ラインナップ、ビデオリサーチ調べの視聴率を報じた日刊スポーツとBOUTREVIEWを参照しました。『超RIZIN.5』は2026年9月10日(木)に京セラドーム大阪で開催され、ABEMA PPVで全試合生中継。ABEMAは同大会に先立ちRIZINの公式メディアパートナー就任を発表しています。2025年大晦日の『RIZIN 師走の超強者祭り』はABEMAとU-NEXTで配信され、朝倉未来はフェザー級タイトルマッチに出場しました。Prime Videoの『世界戦30試合以上』は、2025年5月までの公開済み大会ラインナップを基にした編集部集計です。2003年大晦日の曙対ボブ・サップは関東地区で瞬間最高43.0%を記録し、その時点の紅白歌合戦を上回りました。『国民的娯楽から巨大なファンダムへ移動した』という結論は編集部の比較・考察です。






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