M!LKはダサくて、INIはかっこいい?

M!LKとINIを続けて見ると、面白いほど方向性が違う。

INIの「You Know What To Do」はファンキーなダンスポップ。パフォーマンスも衣装もMVも、現代的なボーイズグループとして洗練されている。9月発売の「ANTHEM」はオリコン週間合算シングル1位を獲得した。

一方のM!LK。

「イイじゃん」「爆裂愛してる」「好きすぎて滅!」。タイトルだけでもかなり妙だ。

格好いいかと言われれば、人によっては「ダサい」と感じるだろう。

だが、そのダサさを理由にM!LKを下に置くのは、音楽を一つの尺度だけで見すぎている。

大衆芸能で重要なのは、どれだけ格好いいかだけではない。どこまで遠くの人間に届くかだ。

「知らない人でも分かる」は恐ろしく強い

「イイじゃん」は2025年、TikTok音楽チャートで3週連続1位となり、ストリーミング累計4500万回を突破。そのままM!LKを初の紅白へ連れていった。

なぜか。

一回聴けば覚えるからだ。

「ビジュイイじゃん」という一言を、小学生でも親世代でも真似できる。高度な音楽知識も、グループの物語も必要ない。

ファンではない人間が途中から参加できる。

この「入口の広さ」は、作品の単純さと表裏一体である。

DA PUMPも最初は「ダサい」だった

その極端な成功例がDA PUMP「U.S.A.」だ。

2018年、最初に話題になった理由の一つは「ダサすぎる」だった。ISSA自身も最初の印象を「まじかよ」と振り返っている。

それが「ダサかっこいい」へ反転した。

「C’mon, baby アメリカ」、いいねダンス。子どもでも老人でも一部分だけなら参加できる。

結果、長く表舞台から離れていたDA PUMPは、その年の紅白へ16年ぶりに戻った。

ダサさは、時に“知っている人しか入れない格好よさ”よりリーチが長い。

「完成度」と「到達距離」は別の数字だ

ここでINIとM!LKの優劣を決めたいわけではない。

むしろ逆だ。

INIにはINIの美学があり、その完成度を求めるファンがいる。現在のシングルが週間1位を取る強さもある。

一方でM!LKは、ファンではなかった人まで巻き込む仕掛けに強い。

だから楽曲を聴いて「こっちの方が格好いいから上」と評しても、芸能としての勝負は終わらない。

音楽には深さがある。

同時に、横への長さもある。

どれだけ深くファンを刺すか。

どれだけ遠くの無関心層まで届くか。

そして紅白のような国民的番組へ最後に辿り着くのは、ときに最も洗練された曲ではない。

街の誰もが、一部分だけでも知っている曲なのである。

出典・編集注記

事実確認(2026年10月9日):M!LK『イイじゃん』のTikTokでの反響、ストリーミング再生数と第76回NHK紅白歌合戦への初出場、INI『ANTHEM(You Know What To Do)』の2026年9月28日付オリコン週間合算シングルランキング1位、DA PUMP『U.S.A.』が“ダサかっこいい”と拡散した当時のISSAの発言と16年ぶりの紅白出場を確認しました。本文中の『ダサい』『かっこいい』は作品への評価軸を論じるための表現であり、特定グループの優劣を事実として断定するものではありません。画像は実際のアーティスト、ライブ、MVを撮影・複製したものではありません。

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