Lienelの6thツアー『ロマンティック・シンドローーム!!!!!!』が9月13日、大阪国際会議場メインホールで始まった。大阪、愛知、東京の3会場6公演は全席種完売。初日に新曲『愛のダバダ』を初披露した。

作詞・作曲は、M!LK『爆裂愛してる』『好きすぎて滅!』の浅野尚志。振付はEBiDAN『Yes! 東京』にも関わったakane。テーマは“とめどなく溢れ出す愛”で、公式は優雅さとトンチキ感の共存を掲げる。

公開されたステージ写真と映像では、ラグジュアリーな衣装と歌謡曲的な身振りが、題名の『ダバダ』という軽さにぶつかる。格好いいだけで閉じず、少し笑える隙を残す。上品と珍妙の往復が、6人の輪郭を太くする。そこがこの新曲の武器だ。

格好よさを守るより、笑われる危険を引き受けた方がアイドルは強い。

“ダバダ”は、意味がないから残る

『愛のダバダ』という語は、内容を説明しない。だが発音した瞬間に昭和歌謡、コーラス、CMソングの記憶を呼び、短尺動画でも口に残る。意味を読む前に、音が身体へ入る題名である。

9月14日からInstagramとTikTokで先行配信し、CD発売は10月21日。フル商品より先に、踊れる断片を流通させる順序も明確だ。楽曲がライブの所有物から、真似される素材へ変わる。

トンチキは、逃げではなく精度が要る

奇抜な題名や大げさな振付を置けば、失敗しても『ネタ曲だから』と逃げられる。その危険はある。観客が笑ったことを、楽曲が届いたことと混同すれば、トンチキは内容不足を隠す包装になる。

しかし浅野尚志の仕事は、反復したくなる音と、演者が全力で信じる余地を同時に作る点にある。akaneの振付も、ふざけた仕草を照れずにそろえる身体能力がなければ成立しない。笑えるのに雑ではない。その精度がアイドル歌謡を救う。

Lienelは2023年結成の6人組で、年齢もキャラクターも若い。背伸びした色気だけを与えれば、既存の男性グループへ埋もれる。豪華な舞台にくだらない言葉を置く落差は、未完成さを弱点でなく可動域として見せる。

EBiDAN文法を、自分たちの顔にできるか

一方で、M!LKのヒット後に同じ作家、同じ“全力で変な愛”の方向を選べば、成功例の横展開にも見える。EBiDAN内で楽曲と振付の文法を共有するのは強い。それでも、弟分が兄のバズり方をなぞるだけなら固有名詞は残らない。

現時点で、全公演完売は入口の正解を示した。ここから必要なのは、TikTokで一部分が回ることだけでなく、会場で6人の声と関係性にしか変換できない場面だ。ツアー後半で曲がどう育つかまでがレビューになる。

格好よさを守るより、笑われる危険を引き受けた方がアイドルは強い。ただし“トンチキ”は免罪符ではない。『愛のダバダ』がLienelの歌になるのは、変な題名を借りた時ではなく、6人以外では寒く見える地点までやり切った時だ。

出典・編集注記

Lienel公式サイト、EBiDAN公式のツアー完売情報、ユニバーサル ミュージックの楽曲発表、音楽ナタリーの2026年9月13日付初日レポートを参照しました。ツアーは大阪・愛知・東京の3会場6公演が全席種完売。『愛のダバダ』は浅野尚志作詞・作曲、akane振付で、9月13日に大阪で初披露、14日からInstagram・TikTok先行配信、10月21日CD発売予定です。公演全編の鑑賞を装わず、公開されたステージ写真、公式映像、制作情報と楽曲の公開部分を対象にレビューしています。画像は本人や実際の公演を撮影したものではありません。

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