乃木坂46、櫻坂46、日向坂46。FRUITS ZIPPERなどのKAWAII LAB.、指原莉乃プロデュースの=LOVE。JO1、&TEAM、STARTO、TOBE。
それぞれのファンアカウントを眺めていると、所属も男女も違うのに、妙な共通点を感じる。
なんだか、つまらないのだ。
悪口を言いたいわけではない。推しへの愛情は強いし、情報も速い。ただ、投稿の多くが「かわいい」「尊い」「この発言最高」で完結する。話が転がらない。意外な着地もない。
知らない人にも伝わる前置きはなく、同じ推しを好きな仲間にだけ通じればいい。笑いの完成度より、共感の速さが優先される。
ファンは「面白い」を買っていない
アイドルファンが求めるのは、必ずしも笑いではない。推しが何を食べ、誰と話し、今日も元気か。それを知るだけで十分な価値がある。
公式YouTubeでメンバーが雑談するだけの動画が成立するのも同じ理由だ。ファンには一言が宝物でも、知らない人には何も起きていない時間になる。
だから「つまらない」のは人間の能力の問題とは限らない。コミュニティで評価される言葉の種類が違うのだ。
昔のテレビは、嫌でもお笑いを見せた
ダウ90000の蓮見翔は「お笑いは流行ってない」と繰り返す。『ゴッドタン』では、千鳥は流行っていてもお笑いそのものは流行っていない、と説明した。
かつてはテレビをつければ、興味のない人にも漫才やバラエティが流れてきた。フリがあり、期待を作り、裏切って、オチをつける。その構造を無意識に浴びる機会があった。
今はスマホで好きな人だけを追える。総務省の調査でも、平均利用時間はテレビのリアルタイム視聴よりインターネットが長い。
「笑いが好きではない人」もお笑いに触れる時代から、「好きな人だけが見に行く」時代になった。
話の組み立てを知らなくても困らない
音楽を聴き、推しの雑談を見て、感想を仲間と共有する。それは立派な楽しみ方だ。
ただ、そこでは話を面白く組み立てる必要がない。結論から言っても、文脈がなくても、推しの名前さえあれば反応が返ってくる。
お笑いは逆だ。知らない人を振り向かせるため、前提を共有し、言葉の順番を考え、最後に予想を裏切る。テレビの芸人MCが何げない会話を面白くしていたのは、その技術があるからだ。
当然、お笑いを見ない人全員が話し下手なわけではない。けれど、面白く話す技術に触れなくても一日が完結する環境は確実に広がった。
アイドルファンがつまらないのではない。「面白さ」を必要としない場所に、面白さを求めているのかもしれない。
蓮見の言葉の怖さは、お笑い芸人が売れないことではない。お笑いを必要としない人が増えても、誰も困らなくなったことだ。
出典・編集注記
テレビ東京『ゴッドタン』(2026年6月13日放送)。蓮見翔は「お笑いは流行ってない」という主張について、個々の人気芸人とお笑い全体の人気は異なると説明。総務省「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2025年6月公表)では、全年代の平日平均利用時間はインターネット181.8分、テレビのリアルタイム視聴154.7分。ファンアカウントの投稿傾向と話術の関係は筆者の観察・考察であり、ファン全体の会話能力を統計的に比較したものではありません。画像は実在のアイドル、蓮見翔、ファン、番組、収録現場を撮影・複製したものではありません。






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