女子校で、バレンタインチョコを大量にもらう女子生徒を見たことがあるか? いる。別に恋愛感情とは限らない。でも、明らかにほかの女子とは違う。

ショートカット。立ち振る舞いが格好いい。後輩から『先輩!』と慕われる。文化祭で男装したら、とんでもなくモテる。女子校の王子様である。

この『女子が女子にキャーキャー言う』現象を、日本は100年以上前から巨大なエンタメにしてきた。宝塚歌劇だ。

全国の女子校から、『バレンタインに一番チョコをもらった女』を集めよう。

女が女に惚れる市場は、昔からデカい

宝塚の男役は面白い。男性そのものを再現しているわけではない。女性が『格好いい』と感じる男性像を、女性が演じる。つまり、女が作った、女のための理想の男。1914年の初公演から1世紀を超えて続いている。

だったらアイドルでも、もっと成立していい。実際、そのど真ん中を狙ったのがTHE HOOPERSだった。公式プロフィールは『全員ショートカットのボーイッシュ・ガールズ・グループ』と紹介し、『女子も恋する』『イケメン女子』を掲げた。少女漫画から飛び出した王子様のような世界観を作り、宝塚の男役をライブアイドルへ近づけたような存在だった。

櫻坂46にも『王子様』がいる

そして現在、この匂いを感じるのが櫻坂46だ。もちろん男装グループではない。しかし、その魅力は『可愛い女の子を愛でる』だけでは収まらない。

山﨑天の長身とクールな存在感。藤吉夏鈴の中性的で独特な空気。森田ひかるの強いパフォーマンス。可愛いだけではなく、『格好いい女』を推せる。男性ファンに『彼女にしたい』と思わせるだけでなく、女性ファンに『この女になりたい』『この女に惚れる』と思わせる余地がある。アイドルの市場が一つ増える。

ネクスト宝塚は、劇団とは限らない

宝塚歌劇と櫻坂46は、当然まったく別の文化だ。THE HOOPERSとも違う。それでも共通する欲望がある。女性は、格好いい女性にも熱狂する。だったら次の女性アイドル市場は、『男性にモテる女』だけを作らなくてもいい。

女子校の文化祭で男装した瞬間、廊下を女子が追いかける。バレンタインに同性からチョコを山ほどもらう。そんな『女子校の王子様』を全国から集めたらどうなる。歌わせる。踊らせる。スーツを着せる。王子様として徹底的にプロデュースする。とんでもなく売れる女性アイドルグループが作れるんじゃないか。

宝塚は需要の存在を100年以上証明した。THE HOOPERSは可能性をアイドルへ持ち込んだ。櫻坂46は『格好いい女性アイドル』を推す楽しさを見せている。なら、次はもっと極端でいい。全国の女子校から、『バレンタインに一番チョコをもらった女』を集めよう。ネクスト宝塚は、案外そこから生まれるかもしれない。

出典・編集注記

宝塚歌劇公式の歴史資料、THE HOOPERSのユニバーサル ミュージック公式プロフィール、櫻坂46公式プロフィールを参照した論評です。特定メンバーの性的指向やファン個人の感情を断定するものではありません。参考:

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