ヨン・サンホ監督の韓国映画『コロニー/群体』が、2027年1月1日に日本公開される。舞台は未知のバイオテロで封鎖されたソウルの超高層ビル。チョン・ジヒョン演じるバイオテクノロジー教授らが、粘る糸を引き、集団知性を持って進化する感染者から逃げる。

共演はク・ギョファン、チ・チャンウク、シン・ヒョンビン、キム・シンロク、コ・ス。123分、PG12。本年度のカンヌ国際映画祭で初上映され、韓国では4週連続興行1位、アジア10カ国でも1位を記録したと配給側は発表する。日本では東京国際映画祭のクロージングを経て元日に封切られる。

感染者が賢くなったのではない。群れに考える力を預けた人間社会の方が、先にゾンビへ近づいた。

感染者は、ついに会議を始めた

『新感染 ファイナル・エクスプレス』でヨン・サンホが更新したのは速度だった。死者がのろのろ歩く約束を捨て、狭い列車へ雪崩れ込ませた。『コロニー/群体』の特報が押し出すのは、その先の連携である。感染者は一体ずつ襲うのではなく、壁や吹き抜けを群れとして攻略する。

ただ数を増やすだけなら、映像の物量競争で終わる。怖いのは、個体に意思がなくても集合すれば判断らしきものが生まれる点だ。SNSの炎上、企業組織、都市の避難行動まで、現代人は群れの速度に個人の倫理が追いつかない光景を知っている。邦題にわざわざ『群体』を足した以上、敵は怪物の身体より、責任者のいない知性でなければ弱い。そこにこの作品の新しさが必要だ。

超高層ビルは、列車より逃げ場が多いのか

高層ビルは縦に伸びた密室だ。階段、エレベーター、ガラス壁、研究区画が、生存経路と同時に封鎖装置になる。列車のような一本道ではない分、誰が上へ行き、誰を残し、どの扉を閉めるかという選択が増える。教授という主人公の専門知識も、救命の鍵であると同時に災厄への責任を問う材料になる。

反論はある。高速感染者も都市封鎖も、既に珍しくない。豪華キャストと大群映像だけなら、ヨン・サンホ自身が作った型の再生産だ。韓国とアジアでのヒットも、日本の観客に新味を保証しない。だから見るべきは感染の設定説明ではなく、生存者が群れへ対抗するため自分たちまで組織化される過程だ。

ゾンビより、人間の集団知性を映せ

特報は襲撃の速さを売る。だが映画を残すのは、速さを止めた後の問いである。群体に勝つため命令系統を作れば、少数者の犠牲は効率として処理される。知識を持つ者だけを守れば、ビルの階層がそのまま命の値段になる。そこまで踏み込んで初めて、感染者の進化は人間側の鏡になる。

チョン・ジヒョンとク・ギョファンを走らせ、チ・チャンウクを危機へ置くだけなら正月映画としては十分派手だ。しかし『群体』という言葉は、観客自身も安全な個人ではいられないと迫る。感染者が賢くなったのではない。群れに考える力を預けた人間社会の方が、先にゾンビへ近づいた。『コロニー/群体』は、その不快な鏡まで磨けなければタイトル負けだ。

出典・編集注記

映画『コロニー/群体』公式サイト、配給発表を伝えたFans Voice、映画.comの作品情報を参照しました。日本公開は2027年1月1日、上映時間123分、PG12。第39回東京国際映画祭クロージング作品です。本文は公開済み特報と公式あらすじ、発表された興行情報を対象にした企画批評で、未公開の日本語版本編を鑑賞した記述ではありません。画像は実際の場面写真ではありません。

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