『ちいかわ』をキャラクターグッズだけで知っている人は、一度原作を読んだ方がいい。

思っているより、かなり怖い。

ちいかわ、ハチワレ、うさぎ。

丸くて、小さくて、柔らかい。

なのに彼らが暮らす世界には労働があり、資格試験があり、討伐があり、突然襲ってくる怪物がいる。

友達が別の何かになってしまうこともある。

「セイレーン編」まで行けば、もはや可愛いキャラクター漫画の顔をした怪奇譚である。

では、なぜこんな作品がここまで巨大IPになれたのか。

怖さまで含めて、最初から『ちいかわ』だった。

普通なら、会議で薄まる

もしあの絵柄を見て、最初からテレビアニメを作ろうとしたら、たぶん会議が始まる。

「これは子供向けなのか?」

「怖すぎないか?」

「この展開は“ちいかわ的”なのか?」

全部、仕事として正しい。

でも問題は、ここからだ。

編成が思うちいかわ。

スポンサーが思うちいかわ。

商品担当が思うちいかわ。

アニメスタッフが思うちいかわ。

作品が大きくなるほど、作者以外の人間がそれぞれの「ちいかわ像」を持ち始める。

そして最終的に残るのは、誰にも嫌われない、平均的なちいかわだ。

作家の濃度は、こうやって薄まる。

でも『ちいかわ』は順番が逆だった。

ナガノがSNSに漫画を載せ、先に世界観を完成させ、その後から書籍、アニメ、グッズ、企業コラボが追いかけてきた。

つまり、商品を作るために世界観を決めたんじゃない。ナガノの変な世界が売れて、商品になった。

だから強い。

誰かが、「それ、ちいかわらしくないですよ」と言っても、いや、これがちいかわなんです。で終わる。

作品が売れるほど「ちいかわ有識者」は増えていく。

でも原液を作っているのはナガノ一人だ。

『ちいかわ』の奇跡は、可愛い絵で怖い話を描いたことじゃない。

一人の作家の狂気が、大人たちに希釈される前に“正解”になってしまったことだ。

可愛いのに怖いんじゃない。

怖さまで含めて、最初から『ちいかわ』だった。

出典・編集注記

『ちいかわ』公式総合情報サイトと、ナガノによる原作公式Xを参照しました。

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