芸能人が流行り物にハマると、すぐ「愛がない」「にわか」と言われる。

新しく好きになっただけなら、別に悪くない。誰だって最初はにわかだ。

それでも反発が起きるのは、たぶん我々が大人だからだ。

飽きた経験のある大人だから分かる。熱量はそんなに長く保たない。

今は毎日その話をする。グッズを買う。映画を何度も見る。でも半年後には別のものを好きになっている。そんな自分を、みんな一度くらい見たことがある。

問題は新参であることではない。「好き」が仕事に変わるまでが早すぎるのだ。

新参ではなく、仕事になる速度

最近なら『ちいかわ』だ。

糸井重里は映画を何度も観て、ナガノの絵を連日のように模写するほど熱中している。

一方、平原綾香はハマって間もなく「ミュージカルにしたい」「うさぎ役をやりたい」と発信し、反発を招いた。

この光景、昔からずっとある。

芸能人の「好き」は、すぐ露出へ変わる

2012年、矢口真里は『ONE PIECE』好きを公言しながらクイズ企画で答えられず、「にわか」と叩かれた。本人は2020年、『鬼滅の刃』を観ても「好きと言うと叩かれる」とSNS投稿をためらったほどだ。

田村淳が『ラブライブ!』にハマった時にも、「にわかでは」と疑う声が出た。

そして2020年の『鬼滅の刃』ブームでは、DAIGO、永野芽郁、手越祐也ら芸能人のコスプレが大量発生。「便乗では」という批判まで起きた。

つまりファンが怒るのは、新参だからではない。

「好き」が、芸能人にとって仕事や露出へ変換される速度が速すぎるのだ。

ショートカットが「利用」に見える

一般人は10年好きでも公式企画に入れない。芸能人は昨日ハマり、今日投稿し、明日にはコラボの話になり得る。

そのショートカットが「愛」ではなく「利用」に見える。

もちろん、流行から入ること自体は健全だ。にわかファンも作品の市場を広げる。これは正しい。

ただ、他人のIPを仕事にするなら話は別だ。

熱は、いつか冷める。だから問われるのは「今どれだけ好きか」ではない。冷めた後も、その作品に敬意を払えるか。

芸能人の流行便乗が嫌われるのは、ファンが排他的だからだけではない。

我々自身が何度も飽きてきたから、「その熱、本当に続く?」と知ってしまっているのである。

出典・編集注記

芸能人と作品ファンの関係を扱う論評です。糸井重里による『映画ちいかわ』の複数回鑑賞と模写、平原綾香によるミュージカル化の提案、矢口真里をめぐる2012年の『ONE PIECE』クイズ報道と2020年の『鬼滅の刃』発言、田村淳の『ラブライブ!サンシャイン!!』ファン公言、2020年の芸能人による『鬼滅の刃』コスプレ報道を参照しました。「愛がない」「便乗」「仕事化」は個々の内心を断定せず、受け手側の反発構造を論じる編集部の表現です。

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