Netflix『ダウンタイム』のキャストを見て、少し不思議な感覚があった。

永作博美と安達祐実が同じ作品にいる。

もちろん、この二人が共演NGだという話ではない。

重要なのは、芸能界では「有名人なら誰と誰でも共演させられる」わけではないということだ。

特に俳優やミュージシャンは難しい。

芸人ならMCの横に何組ものコンビを並べられる。同世代の人気芸人が10人集まる番組だって成立する。

ところが俳優では、同世代、同じ雰囲気、同じ役どころを得意とする別事務所のスターを何人も集める意味がそもそも薄い。

主演は誰なのか。二番手は誰なのか。

ポスターでは誰が大きいのか。

さらにCM契約まで絡む。

自動車、化粧品、飲料、通信。出演者が広告塔になっている企業と番組スポンサーの競合関係まで考えれば、キャスティングは単純な「この役に一番合う人を呼ぼう」では済まなくなる。

事務所側にとっても、自社タレントと同じポジションの俳優を横に置くことが必ずしも得ではない。

これはミュージシャンでも同じだ。

だからテレビのキャスティングには、視聴者には見えない巨大な相関図が存在してきた。

そこでNetflix『ダウンタイム』である。

Netflix公式によれば、本作はNetflixが企画・製作する全8話。松岡茉優、仲里依紗、田中みな実、Kōki,、永作博美、安達祐実らが同じ作品に集まる。

Netflixにも当然、契約や事務所との交渉はある。

ただし地上波のように、番組途中のCMを購入するスポンサーを中心に成立するビジネスではない。

視聴者が直接料金を払う。

この違いは、作品の内容だけでなく「誰と誰を同じ画面に置けるか」にまで影響しているのではないか。

配信が壊したのは、テレビの放送時間だけではない。

「同じキャラは二人いらない」「この事務所とこの事務所を並べるのは面倒」「スポンサー的に難しい」。

そんな芸能界の見えない相関図まで、少しずつ意味を失わせている。

永作博美と安達祐実が同じ作品にいる。

その何気ないキャスティングこそ、テレビからNetflixへ主戦場が広がった芸能界の変化を象徴しているのかもしれない。

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