最近の曲は、待ってくれない。

再生した瞬間から歌う。

いきなりサビ。

いきなりフック。

TikTokやShortsで切り抜きやすい15秒を、最初から用意している。

もちろん合理的だ。

実際、ヒット曲のイントロは長期的に短くなっており、ストリーミング時代には「早く聴き手を捕まえる」構造が強くなったと指摘されている。

でも、

もうドパガキに最初からプリンを食わせるみたいな曲、多すぎない?

そこでPOP ART TOWN『カメレオン』である。

2025年12月リリース。

この曲、イントロからちゃんと格好いい。

声が入る前に、ギターとシンセが役割を持っている。

リズムを積み、音色を重ね、これから何か始まりそうな期待を作ってから歌へ渡す。

サビまでの時間が「無駄」じゃない。

イントロそのものが一個のフックになっている。

しかも本人たちも分かっている。

公式YouTubeには「イントロが最強すぎる曲」、さらに「イントロが聴かれない時代に聴いてほしい曲」と自ら投稿している。

音楽ライターからも『カメレオン』の「上品にも刺激的なエレクトロギターポップ」とイントロが注目され、動画をきっかけに短期間でSNSフォロワーが増えたという。

面白いのは、

ショート動画時代に逆らったイントロが、ショート動画で見つかったことだ。

POP ART TOWNは昔から「耳に残るキャッチーさ」を楽曲の絶対条件として語ってきた。

でもキャッチーとは、サビを最初に置くことではない。

イントロだって、作り込めば人を止められる。

『カメレオン』が気持ちいいのはそこだ。

すぐ答えを見せない。

ちゃんと助走する。

そして助走まで格好いい。

サビを早く出すことがサービスなら、サビを待たせるだけの価値を作ることも、作曲家のサービスである。

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