アイドル番組は、どんどん泣かせた方が面白い。

ただし、何でもいいから泣けばいいという意味ではない。

アイドル番組を作っていると、本当によく泣く。

ダンスを間違えて泣く。

企画に失敗して泣く。

少し注意されて泣く。

褒められても泣く。

たまに思う。

何に泣いてるんだ。

お前が泣いている時間もスタッフは働いている

本人にとっては大事件なのだろう。

でも、その横ではカメラマンが重いカメラを持ち続けている。

音声はマイクを構えている。

ADは次の段取りを確認している。

収録時間も押していく。

本当に辛いなら休めばいい。

でも、ちょっと上手くできなかったくらいで毎回泣かれると、

もう少し頑張ってから泣いてくれ

とは思う。

こっちは泣かせたくて台本を書いている

むしろ制作側は、アイドルの涙が大好きだ。

だから企画を考える。

挑戦させる。

競わせる。

何週間も練習させる。

昔の映像を見せる。

家族から手紙を預かる。

卒業する仲間と話させる。

そこまでフリを積み重ねて、最後に一滴落ちる。

その涙が見たいのだ。

泣けばエモい、ではない

半年努力して、ようやく成功した。

ずっと勝てなかった相手に勝った。

言えなかったことを仲間に伝えた。

卒業の日を迎えた。

そこで泣けば、視聴者も泣ける。

「そりゃ泣くよ」と思えるからだ。

逆に事情も分からないまま突然泣かれても、

「どうした?」

で終わる。

アイドルは泣いてからが本番。

だからこそ、安売りしてはいけない。

俺たちは涙が見たくて台本を作っている。

涙そのものではなく、涙が出るまでの物語を作っているのだ。

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