クールジャパン機構が、廃止方向へ進んでいる。

2013年に始まり、政府1406億円、民間107億円が出資。

そして2025年度末の累積赤字は約540億円。

「日本の魅力を世界へ」という壮大な看板は、ずいぶん高い授業料になった。

そもそも文化は、会議室で作れるのか?

アニメ。

漫画。

ゲーム。

音楽。

ファッション。

日本が世界へ輸出した文化の多くは、最初から政府が「海外で売れる」と選んで作ったものではない。

むしろ変なクリエイターが勝手に作り、国内で熱狂が起き、外国人が後から発見した。

そこで国が、

「これが日本のクールです」

と選別し始める。

この順番になった瞬間、少し怪しくなる。

役人が悪いのではない。仕事が違う

行政は公平性を求められる。

説明責任もいる。

予算を使えば成果指標も必要になる。

しかし文化は不公平だ。

100本作って99本失敗し、一人の変人が作った1本だけが突然世界を変える。

「なぜこれに金を出すんですか?」

と聞かれて、

「なんとなくヤバそうだから」

で投資できる人間の方が、エンタメでは強かったりする。

行政と文化では、そもそも成功の作法が違う。

国がやるべきは「選ぶ」ことではない

だから政府は文化に関わるな、という話でもない。

制作環境を整える。

海外展開を助ける。

海賊版を潰す。

クリエイターに金が戻る制度を作る。

そういう土台は国にしか作れない。

でも、

「次に世界で売れる日本文化はこれです」

まで役所が決め始めると危ない。

世界を驚かせる文化は、だいたい会議で理解される前に生まれている。

クールジャパンの失敗が教えてくれたのは、

日本文化が弱かったことではない。

日本文化を国が“クールにしてあげよう”とした、その発想自体が一番クールじゃなかったのかもしれない。

SHARE