airatticの5th EP『Synchronicity』は、2026年9月の活動終了を前にした最後のEPだ。新曲「Embers」「HERE」「証」に、初期からのライブ定番曲「閃光」「環状線チルドレン」のRe-Vocal版を加えた全5曲。

最後の作品と聞けば、泣かせるバラード、思い出の映像、ファンへの手紙を想像する。だがairatticは、終わりを大文字の「FINAL」へ変換しない。モラトリアム、都市、平熱、20代を掲げてきたグループらしく、別れも生活の温度で置いていく。

最後だから過去を飾るのではない。ライブで変わった声を、最後にもう一度録音する。

新曲3曲、再録2曲。その並びが正しい

面白いのは、ベスト盤のように過去を大量に詰め込まず、新曲を3曲入れたことだ。「もう終わるグループ」ではなく、最後まで新しい曲を持つ現在形のグループとして残る。

一方、後半の「閃光」「環状線チルドレン」は単なる再収録ではない。公式説明では、ライブを通して育まれたニュアンスやアドリブを取り入れ、ボーカルを録り直したという。昔の正解を保存するのではなく、ステージを重ねた今の声で更新する。活動の時間が音源へ戻ってきた。

『環状線チルドレン』で終わる意味

airatticは、ギターロックとエレクトロニカを軸に、都市で暮らす20代の宙ぶらりんな感情を鳴らしてきた。目的地へ一直線に進む物語より、同じ駅を巡りながら少しずつ変わる人間が似合う。

だから最後が「環状線チルドレン」なのは強い。終点へ到着して幕を下ろすのではなく、何度も通った風景へ戻る。グループは終わっても、曲は通勤、深夜の帰宅、イヤホンの中で再び一周する。別れを終止符ではなく循環にする選曲だ。

解散作品を、遺書にしなかった

活動終了前の作品は、どうしてもグループの全歴史を説明したくなる。ファンへの感謝も、メンバーの決意も、きれいな結論も入れたくなる。『Synchronicity』はそこを5曲に絞った。

airとatticを組み合わせた名の通り、空気のように触れ、屋根裏のように個人的な場所へ残る。大げさに泣かせないから、聴き手が自分の別れを持ち込める。『Synchronicity』は解散の説明書ではない。たまたま同じ都市、同じ時代、同じライブハウスで重なった時間の余韻だ。

出典・編集注記

airattic公式発表、TuneCore Japan、OTOTOYの作品情報と配信音源を参照した編集部レビューです。『Synchronicity』は2026年8月6日配信。活動終了は2026年9月予定と案内されています。参考:

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